コラム

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私にとって旅とは、
「贅沢な眠りを提供すること」です。

シモンズ株式会社
代表取締役社長

伊藤正文さん

Photo: Sadato Ishizuka

 知らない土地を訪れた夜、旅の興奮と緊張で、なかなか寝付けないという思いをした人も少なくないだろう。逆に旅先でぐっすりと眠れた経験は、強く印象に残っているものだ。快眠こそ、よい旅の条件のひとつといっていいだろう。そんな旅の眠りを手助けしているのが、シモンズのベッド。今では多くのホテルが採用し、高級ベッドの代名詞にもなっているが、「そのよさをわかっていただくまでには、時間がかかった」と、同社の代表取締役社長の伊藤正文さんは語る。「畳に布団を敷く文化だった日本では、マットレスというクッション性のあるものに寝ることに抵抗感がありました。とくに、弊社の点で支えるポケットコイルは、体を面で支えるスプリングコイルに比べ、柔らかく感じられるんです。しかし、実際に横になっていただくと、全身を包み込むような心地よさを感じていただけるはずです。実際に、弊社のベッドをホテルで使っていただいたことをきっかけに、家庭用として購入いただくお客さまは、かなり多いんですよ」。

 にこやかに自社の製品について語る伊藤さんのはじめてのひとり旅は、実家の兵庫県から、大学入学のために向かった長野県松本市への列車の旅だったという。「昭和48年、18歳の春でしたね。国鉄の播但線で姫路まで出て、姫路から山陽本線で名古屋へ、そこから中央本線で松本に向かいました。当時の木曽の周辺には、古い日本の風景がまだ残っていて、ヒノキの屋根の上に石が載っている民家がありましたね。いよいよ家を出るんだなという気持ちで、電車に乗り込んだことを覚えています」。以降、伊藤さんは、長野県に住み続け、現在もウィークデーは東京、週末は家族のいる松本に戻っているという。

シモンズ株式会社

 そんな忙しい毎日を送る伊藤さんの旅の楽しみは、旅先での食事。「取引先の方々に、いいお店を尋ねることが多いですね。居酒屋巡りで有名な太田和彦さんや吉田類さんのテレビ番組をチェックして、実際にその店に行ってみるということもありますよ。私は高級な店よりも、地元の人に長く愛されている店に惹かれるんです。『あ、こんな場所にこんな魅力的な店があったんだ』という発見や驚きが、旅の喜びでしょうか」。その楽しみは、国内だけでなく、海外でも同じだという。「たとえば中国の香港に出張に行ったときには、中心部から離れた西貢という港町のレストランへでかけます。そこは海鮮が有名な町なんですが、水族館のように水槽がたくさんあるんです。そのなかから食べたいものを選んで調理してもらう。僕が好きなのはシャコ。日本のものとは比べ物にならないくらい大きなシャコを、フライにしたものが、たまらなくおいしかったですね」。

 今回、シモンズが選んだ「旅する日本語」は旅先で見る夢を意味する「客夢」。「眠りもひとつの旅であると考えている我々にとって、『客夢』という言葉はぴったりでした。旅の高揚感を感じられる空港で、この広告をご覧いただき、ほんわかとした気分になって、旅に出ていただきたい。そして、旅先のホテルで我が社のベッドが“贅沢な眠りの旅”をご提供できれば、眠りのプロとしてこれほど嬉しいことはありません」。

シモンズ株式会社が選んだ 旅する日本語

「客夢」きゃくむ

飛行機の窓から
何気なく地上を眺めていたら
雲の隙間から湖が見えた。
波ひとつないその水面は
まるで鏡のようにピカピカしていて
自分の乗った飛行機を映し出している。
窓から身を乗り出して手を振ったら
鏡の中で手をふる笑顔の自分が見えた。
……あ、夢か。
着席のシートベルトサインが
点灯した。

【きゃく・む】旅先で見る夢

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