旅する日本語展2017

コラム04

大成建設株式会社

設計本部 設備設計第1部(羽田設計分室駐在) 主事

大村修一さん

2017.6.15

大成建設株式会社

私にとって旅とは、「自らの思考を
チェンジするチャンス」です

羽田空港には守り人がいる。「空港の建物のことはおそらく誰よりも詳しい」、多くの人が尊敬の念を込めてそう評するのが、大成建設の大村修一さんだ。御年64歳。空港一筋で40年勤めあげてきた。「羽田(空港)は可愛い我が子のような存在」と語る大村さんにとって旅とは?

 大成建設の大村修一さんは昭和46年の入社以来、約40年という年月のほとんどを羽田空港で過ごしてきた。それこそ空港の隅々まで知り抜いている人物だ。大村さんにとって空港は我が子のような存在であると同時に、「常に躍動し新陳代謝を続ける巨大な生き物」でもある。現在は主事として空港の改修・設計・工事監理にあたっているのだが、自らの仕事については、「生きているターミナルの隅々にまで目を配り、常に動き続けるよう見守ること」と語る。

 大村さんには今もってなお色褪せない記憶がある。国際線の成田空港移転に伴い昭和53年に実施された羽田空港の大改修工事だ。

「国際線が姿を消し、ガランドウになった空港ロビーを国内線用に直す必要がありました。あのときは24時間体制の突貫工事。作業員さんたちは交替できるけど、設計の私が現場を離れることはできなくてね。毎日毎日仮眠室に寝泊まりしていました」

 このように日本の玄関口を守るというハードな仕事を40年の長きにわたって実直にやり通してきた大村さん。ここまで続けられたのは「趣味をはじめ旅好きだったから」と語る。溢れるバイタリティの秘訣はズバリ、どんなに仕事に煮詰まっている時でも「休日は仕事を忘れて趣味に没頭すること」とのこと。

「空港は大きいですが、とはいえこの空間で完結する閉鎖された一つの町のようなもの。そこで長く仕事をしていると、身も心もこの町のことから離れられなくなってしまうんです。だから旅に出て思いっきり趣味を愉しむこと。これが肝心なんです」

そんな大村さんにとって旅とは、「自らの凝り固まった思考をチェンジするチャンス」だそう。

「旅に出て趣味を愉しむという非日常を経て仕事モードの頭をリフレッシュする。そして気力を蓄えてまた職場に戻る。この循環ができていたから、40年続けることができたんです」

 事実、大村さんは実に様々な趣味を持つ「趣味人」でもある。若い頃には登山にスキー。アマチュア無線も小学生から続けていて、他にもパラグライダーをしていたこともあったという。

「ハマったらとことんやる性分でね。スキーに夢中になっていた頃は年に30日はスキー場に通い、一級の資格まで取りました」

 ここ15年くらいハマっている趣味がこれまた豪快だ。「私はハンター(狩人)なんです」と嬉々として語りだしたその表情は生き生きと、まるで少年のよう。今シーズンも40日近く山に入ったそうで、つまりは休日はほとんど狩りにでているそうだ。

趣味のエピソードを楽しそうに語る大村さん
趣味のエピソードを楽しそうに語る大村さん

 そもそもハンターになったきっかけは、北海道の本別で鹿を仕留めたことに始まる。先輩ハンターに誘われて北海道へ、羽田空港から帯広へ飛び、本別町の「義経の里御所」という公園内のコテージに宿泊したときのことだ。夜も更け自炊で食事を済ませのんびりしていると、なにやら外がざわついている。そっと障子を開けてみるや、月明かりの中に数頭の鹿がいたのだという。

「夜は鹿の天国だからそこかしこにいたんです。その神々しい姿に胸が高鳴りました。翌日夜明け前に身支度を済ませ山に入り、あちこち探し回った末1頭見つけて、私ともう一人で近づいていき、同時に発砲したんです。その瞬間心臓の鼓動が何倍にも膨れ上がったかのごとく高鳴りました。狙いすまして放たれた弾丸が獲物に吸い込まれていき、獲物は身震いして倒れていきました」

 狩りをすると撃った者の手には確かな手応えが残るという。ただ、この時は撃った二人のうちのどちらの弾が当たったのか最後まで分からずじまい。「いまだ、俺のが当たったと二人とも思っているんです」と大村さんは笑う。

 以来完全にハマったそうで、飛行機や車の窓に流れる風景を眺めながら、お酒を飲み、友とその日の獲物について語り合う、それが大村さんにとっての旅の醍醐味だという。

「人生を謳歌しております」と豪快に笑う大村さん。趣味を全力で楽しみながら、今日も人々が往来する旅の玄関口を見守り続けてくれている。

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