旅する日本語展2017

コラム01

公開記念特別編・作者インタビュー

放送作家・脚本家

小山薫堂

2017.3.15

公開記念特別編・作者インタビュー

旅の入り口であなたの心に触れる
作品を探してください

昨年から羽田空港のロビーに展示されている「旅する日本語」展。放送作家で脚本家の小山薫堂さんが旅にまつわる美しい日本語を選びエッセイを執筆。それを受けて俳優で画家の片岡鶴太郎さんが絵画を描いた全11作品がずらりと並ぶギャラリー空間である。そして今年、新たに書き下ろされた作品がふたたび羽田空港国内線第一旅客ターミナル2階出発ロビーにて公開される。エッセイを紡いだ小山さんに想いを語っていただいた。

──昨年「旅する日本語展第一弾」を展示してからの周りの反応を教えてください。

小山薫堂(以下、小山) 羽田から飛行機に乗ったときにキャビンアテンダントの方から「あの作品好きなんですよ」「いいですよね」と声をかけてもらったり、鶴太郎さんからは、「今までは自分で描きたいものを自分から描くやり方しかしてこなかった。それが『旅する日本語』で初めて他人から宿題をもらってそのモチーフに絵を描くというやり方をした。それは自分にとって大きな挑戦だった」と仰っていただけました。この言葉は嬉しかったですね。鶴太郎さんのクリエイティブの種に自分の作品がなったわけですから。ですから今年もまた一緒に仕事ができるという喜びを噛みしめています。

──今年の11作品はどのような視点でエッセイを書かれたのでしょうか?

小山 昨年は空港という場所を感じていただく作品が多くありました。その点今年は見る方の心に旅を感じてもらう「旅感」をより意識して打ち出しました。具体的に旅先の特定の場所をモチーフにして書いているものもあります。見る方が見るとこれはあそこだなとイメージできると思います。また昨年の作品で、遠距離恋愛している彼を空港まで見送りながら、行かないで欲しいと願う女心を描いた「遣らずの雨」(やらずのあめ)に共感する声が多かったこともあり、今年は女性視点で書いたものも増やしました。

──小山さんのお気に入りの作品を教えてください。

小山 そういった女性の視点を取り入れたという点で、「一擲」(いってき)。男との想い出を「あんなヤツのために髪を切るなんてもったいない」と髪を切らずにシャンプーで洗い落とす女性の姿を書いたのですが、ちょっとだけ強がってみせるそんな可愛らしい女性が登場します。鶴太郎さんの絵については、昨年はなかったタッチで描かれたものがあります。これはぜひご覧になっていただきたいです。そのなかでも個人的に好きなのは、「暗涙」。夕空を飛んでいく飛行機ってどこか切なかったりする雰囲気がありますが、それが深く伝わってきます。あとは「空上戸」と「道の記」。鶴太郎さんの凄みというか、ああこの人と一緒に仕事ができて幸せだなと感じられる絵です。

今年の作品からお気に入りを選ぶ小山氏
今年の作品からお気に入りを選ぶ小山氏

──今年「旅する日本語」を初めて目にしていただく方にはどんな気持ちで見てなにを持ち帰ってもらいたいですか?

小山 一番理想としているのは、羽田空港に足を運ぶたびに繰り返し見てもらえるものになることです。そうすることで、あるときは全く響かなかったものが違うときには心の琴線に触れるようになるかもしれません。同じものなのに見る方のそのときの感情によって作品の表情が変わる。そうやって心のなかへの作用の仕方が変わっていくさまを楽しんでいただけたら。あるいは一緒に旅に赴くパートナーとどの作品が好きかを言い合ってほしいです。そんなふうにして作品に触れてもらえたら嬉しいです。

──近日詳細を発表する予定ですが、今年は一般の方の参加型企画も用意しています。作品を見た方に書き手となっていただくのですが、投稿してほしい内容やシチュエーションがありましたら教えて下さい。

小山 オチを考えたり小奇麗に纏めようとしなくてよいので、各作品を見たときに自分がイメージしたことや今まで経験された想い出などをそのまま書いていただければと思います。旅は人を詩人にします。とくに飛行機に乗っているときって、空にいるからか自分自身の日常を俯瞰して見ることができるような気分になれます。ちょっとキザなことを書いても恥ずかしくないというか。ぜひ、そういった旅と旅との狭間の世界で、「旅する日本語」を見て感じたことをそのまま吐露していただけたらと思います。

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