旅する日本語展2019
旅する日本語展2019

連動インタビュー企画

わたしの旅する日本語

私が旅先で出会った思い出の日本風景は
「気持ちを前向きに変えてくれた、仙台の青葉通(あおばどおり)」です

資生堂ジャパン株式会社
代表取締役社長 杉山 繁和

2019年9月25日

新卒で会社に勤め始める時、また赴任で知らない土地に向かう時、 新生活への「希望」の影に、幾ばくかの「不安」を誰しもが心に持つだろう。
「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD (ビューティーイノベーションでよりよい世界を)」を企業ミッションに掲げ、 ”世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニー”の実現を目指して成長を続けている「資生堂」。その日本地域本社「資生堂ジャパン株式会社」の代表取締役社長 杉山繁和(すぎやま・しげかず)さんもまた、数々の不安や困難を 旅先の景色の力を借りて乗り越えてきたという。大きな組織をまとめ上げる現在に到るまでの心に残る思い出の日本風景を語った。

旅のエピソードを語る杉山さん

は日本の他にも、中国・アジアパシフィック・アメリカ・ヨーロッパ・トラベルリテールと、世界の各地域本社に幅広く権限と責任を委譲するグローバル経営体制をとっており、資生堂ジャパンは日本全体のビジネスを担当する。杉山さんは商品・ブランドのマネジメントから、全国にある営業拠点やザ・ギンザなどの子会社のビジネスまで、資生堂の日本でのビジネス全般を統括している。
故に日本全国を飛び回り、様々な景色を目に留めてきた杉山さんが思い出す土地は『仙台』だった。「今から遡ること30数年前、新入社員で最初に配属されたのが仙台でした。学生が一人暮らしをするのとはちょっと違って、仕事で初めて仙台へ赴任していくわけですから、当時ものすごく不安もあって。そんな中、ちょうど赴任した6月頃に見た『青葉通(あおばどおり)』の景色がとても素晴らしくて感動したことを覚えています。東北の6月はとてもよい時期なんですよ。梅雨の始まりが都心と比べて遅く、ちょうど青葉が茂る季節で道路の両側に木々が茂るその風景はとても美しく、仕事に対する不安や、ここで暮らしていけるのかという不安を超えて、なんていい街に来たのだろう、とその美しさに心を打たれました。」

また同年に訪れた宮城県の「松島」も、杉山さんの中で強く記憶に残る景色になる。日本三景に数えられる景色に深く感動し、当時20代の杉山さんが仕事の合間をぬって遊んだ楽しい思い出がたくさんあると語る一方、その表情を少し曇らせた。
「この辺りは2011年の東日本大震災で大きな被害を受けました。実はそれ以降行くことができていないのですが、街や景色の変化というだけでなく、多くの方が亡くなっている事実に、どのような感情で訪れたらいいのか気持ちの整理がついていない。一度近くまで行ったこともあったのですが、周辺の悲惨な状況を目の当たりにして、楽しい思い出がある自分の想いと裏腹に、非常に複雑な心境で。そろそろ行ってみたいと思っているのですが。」
東北に多くのご縁がある杉山さんの想いは強く、資生堂は被害を受けた地域への支援を今も続けている。

「被災後はいろいろな物資が必要になりますが、女性から最初に欲しいと言われたのは「眉墨」でした。あとはドライシャンプーなど、災害時に必要なものをパッケージにしてお届けするノウハウを私たちも学ばせていただきました。物資の支援以外では弊社のビューティーコンサルタント(美容部員)が避難所を訪問し、ハンドマッサージをさせていただきました。疲れた身体に気持ちいいだけでなく、人肌の温もりを感じたり、マッサージしながらお話を伺ったり…そういった心の通うコミュニケーションを通じて癒しを感じていただけたのなら、化粧品会社として少しでもみなさまのお役に立てたのかなと思います。」
また、資生堂と関わりの深い「椿」を市の花としている岩手県大船渡市では、「椿」が同地区の新しい産業になり、観光資源としても活用できるよう、2012年より「椿の植樹会」を毎年行なっている。今年は杉山さんも参加し、大きな刺激を受けたという。(2019年6月実施)

東北に多くの「思い出に残る日本風景」を持つ杉山さんにとって、旅とは何かを伺った。「『発見』ですよね。旅は千載一遇であり、同じことは二度と起こらない。物理的に変わっていくものもあれば、天候や季節、自分の年齢、心情によっても再現性はないわけで。だからこそ、「気持ちと景色」または「季節と気持ち」が結びついてそれぞれがベストマッチすると、ものすごく印象深い場所になると実感しています。旅先にはそれらを再現したいと思って向かっているところもあるかもしれません。残念ながら再現はできないですけどね。
だから、その時々のチャンスというか、微細な変化にも気づける人でいたいと思っています。そのためには心が乾いていたら受け取れません。人間は感情の動物と言われますから、気持ちはとても大事です。そういった意味で、日本を旅することは周囲と自分の変化を発見できるとてもいい機会だと思います。」

旅する日本語 投稿キーワード

「旅する日本語」は上記11スポンサー様のご協力により運営しています

ページの先頭へ